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認知症事故最高裁判決

家族の賠償責任を否定した最高裁の判決は、介護している家族の不安を和らげたという意味で評価される一方、被害者側の救済という点で課題が残る判決であったと思います。

新聞やテレビでは、概ね損害賠償保険の加入や地域で見守ることの重要性が語られています。

今回のご家族は、週6日のデイサービスの利用や見守り体制も工夫されていましたが、それでも事故を防ぐことができませんでした。

地域社会全体で見守ることが理想ですが、家族や本人が望んでいても施設に入所できず在宅を選ばざるを得ないことも多いという点については、あまり取り上げられていません。

成年後見人として、いつも悩ましいのは施設探し。特養はいっぱい、有料老人ホームもグループホームも本人の年金では施設料が払えない。 止むを得ずショートやデイサービスをフルに使いご近所さんや民生委員さんにお願いしながら、特養が空くのを待つのが現状です。 

また、精神障がい・知的障がい・高次脳機能障害を持つ方々の受入れ施設や作業所なども高齢者施設以上に不足しています。

箱が足りない!ということに加え、福祉関係者の人手不足も大きな問題であると思います。

日頃お世話になっている、あんしんすこやかセンター、障がい者施設等の職員さん、ケアマネさん、ヘルパーさんなどの福祉関係者は、人手不足の中、利用者のために懸命に仕事をされていて頭の下がる思いです。

介護ロボットの導入や雇用確保のための国の助成はあるものの、これらの方々が、誇りと余裕をもって働けるような思い切った改革がなされることを望みます。

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