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2016年8月

相続情報証明制度で省力化?

法務省は、7月5日、相続手続簡素化のための「法定相続情報証明制度」(仮称)

を新設し、来年度中に運用を開始すると発表しました。

現在は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式を集め、

不動産の名義変更のために法務局に提出したり、

預貯金や有価証券の払い戻しのために各金融機関や証券会社に

それぞれ提出する必要がありますが、

新制度では、最初に書類一式を法務局に提出すれば、

その後金融機関等には法務局が発行する証明書の提出で済むようになります。

この制度は、空き家問題の解決の一つとして放置されている相続登記を促進することと

相続人の負担軽減が目的のようです。

但し、現行制度でも、法務局に提出した戸籍等の原本は戻ってきますし

ほとんどの金融機関も戸籍等の原本は返してくれるので

相続人の負担軽減という意味では、それほど変わらないと思われます。

おそらく、この制度で一番得するのは

戸籍確認作業の手間が省ける金融機関ではないでしょうか。

逆に大変なのは法務局で、今の人員体制のままで

対応しきれるのかなあと余計な心配をしています。

どちらにせよ、亡くなった方の名義のままにしておくと

いざ相続の名義変更をしようと思ったときに

相続人が増えていたり、相続人の判断能力が衰えていたり

(この場合は成年後見制度を利用しなければなりません)

住民票の除票等が役所の保存期間経過で廃棄されてしまったりして

手続が順調に進まない可能性があります。

相続登記は期限が定められていないため放置されがちですが

気になられた方は司法書士までご相談くださいね。

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